2審の大阪高裁でも、因果関係は認められなかった。
この高裁の裁判長は、1審と同じく
「プライバシーや個人の尊厳の侵害にあたる」とした。一方、
他の要因が影響した可能性があるとして、自殺との因果関係は
認めなかった。
以上概要である。
ちなみに、これは「不法行為」(民法709条)の問題として争われている。
損害賠償を請求する被害者は、以下のすべての要件について、主張・立証
しなければならない。
①被害者の権利または法律上保護される利益が侵害されたこと(権利・法益侵害)
②行為者の故意または過失
③故意・過失行為と被害者の権利・法益侵害との間の因果関係
④損害の発生
➄権利・法益侵害と損害との間の因果関係
※民法(全)第2版 潮見佳男 より
この裁判で「他の要因が影響した可能性」と言っているので、
③の因果関係が問題とされているのであろう。
この点、昭和50.10.24の最高裁判例(ルンバール・ショック事件)で
「通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るもので
あることを必要とし、かつ、それで足りる」
となっているが、どうなのだろう。
そもそも、「通常人」というのも結構厄介で、判例の言う「通常人」
というものをいろんな判例などを見て、勉強?しないとわからないのだが。
上告するのかどうか現時点ではわからないが、被害者側(遺族)は
この男性がたとえ、「知的・精神障害」があっても、軽々しく自殺など
しないことや、なにかしらの「証拠」つまり、遺書や「強要された」つらさ
等を他の人に伝えていないかなどの主張・立証が求められる・・・
のだろうか・・・・・・・・・・
なにか・・・この裁判長さんには「障害」はあくまで(たいへんつらい)個性であり
「同じ人間なんだ」という意識が乏しいような・・・気がしないでもない。